MOVE HUMAN

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身体の動きと科学の視点から人間の身体を再発見するメディア

強度という見えない指標

強度という見えない指標

私たちは「どれだけ運動したか」は気にする。 でも、「どれくらいの強度で動いたか」は、ほとんど見ていない。 歩数、消費カロリー、運動時間。 これらはすべて“量”の指標だ。 しかし、本当に身体に影響を与えているのは、 その中に含まれる“強度”である。 例えば、日常の中のこうした動き。 ・バスに間に合うために少し走る ・重い荷物を持って階段を上る ・急いで移動するために歩幅が大きくなる これらは運動として認識されないことが多い。 記録にも残らないし、本人の記憶にも残りづらい。 しかし、身体には確実に負荷がかかっている。 重要なのは、 運動は「時間」ではなく「密度」であるということだ。 同じ10分でも、 ・ゆっくり歩く10分 ・強度の高い動きが含まれる10分 では、身体への影響は大きく異なる。 ここで問題になるのは、 日常の強度は“見えない”という点だ。 トレーニングのように明確な区切りがない。 自発的にやっているわけでもない。 だから評価されない。 結果として、 本来もっとも頻度が高く、影響の大きい動きが 完全に見過ごされている。
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全ては足元から始まっている

全ては足元から始まっている

身体は上からではなく、下から制御されている。 頭や背中、骨盤に意識を向けることは多いが、 実際に最初に地面と接しているのは「足」だ。 すべての動きは、足元から始まる。 歩くとき、 最初に起きているのは「接地」だ。 かかとで着地するのか、 足裏全体で受けるのか、 外側に流れるのか、内側に倒れるのか。 このわずかな違いが、 そのまま上半身に伝わっていく。 例えば、 足元が不安定な状態を想像すると分かりやすい。 重心は揺れ、 バランスを取るために膝や骨盤が補正し、 最終的には姿勢全体が崩れる。 逆に、 足元が安定していると、 余計な補正は必要なくなる。 実際に、足元の構造を整えることで、 身体全体に変化が生まれることが確認されている。 ・かかとの軸が補整される ・重心のブレが減少する ・骨盤の左右差が改善する これらはすべて、 足元から始まった変化だ。 ここで重要なのは、 「姿勢を正そう」とする前に、 すでに原因が足元にある可能性が高いということだ。 多くの場合、 姿勢は“結果”であって“原因”ではない。 にもかかわらず、 足元はほとんど意識されない。 靴はデザ
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無意識は、すでに現れている

無意識は、すでに現れている

あなたは、自分の歩き方を説明できるか? 朝、駅に向かって歩く。 スマートフォンを見ながら、 人の流れに合わせて、無意識に足を運ぶ。 そのとき、あなたは自分の歩き方を意識していない。 足をどこに置いているかも、 重心がどこにあるかも、考えていない。 けれど周りの人は、それを見ている。 少し前のめりな人。 かかとから強く着地する人。 足音がやけに軽い人。 歩き方には、明確に“違い”がある。 そしてそれは、隠すことができない。 歩行は、その人の履歴である 歩くという行為は、単なる移動ではない。 足が地面に触れる位置。 体重が移動するタイミング。 身体の連動の滑らかさ。 それらはすべて、 過去の習慣や身体の使い方によって形成されている。 デスクワークが長い人は、重心が後ろに残る。 運動習慣のある人は、接地が安定している。 急いで生きている人は、歩き方がせわしない。 つまり、歩行は“その人の履歴”だ。 無意識に行われているにもかかわらず、 そこには極めて個人的な情報が含まれている。 無意識の精度が、身体の印象を決める
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私たちは、自分の身体のことをほとんど知らない

私たちは、自分の身体のことをほとんど知らない

歩き方を説明できる人は少ない。 自分がどのように足を出し、どこに体重を乗せ、どんなリズムで歩いているのか。 意識して言語化したことがある人はほとんどいないはずだ。 姿勢も同じだ。 「猫背かどうか」程度の認識はあっても、 骨盤の傾きや左右差、重心の位置まで把握している人はほとんどいない。 それでも、私たちは毎日、何千歩も歩き、 何時間も座り、立ち、身体を使い続けている。 ほとんど無意識のまま。 しかし、動きはすべて“情報”として存在している。 歩行には、加速・安定・減速というフェーズがあり、 その中のわずかな数歩からでも、数千単位のデータが取得できるとされている。 つまり、私たちの動きは「感覚的なもの」ではなく、 本来は分析可能なログだ。 にもかかわらず、その多くは記録されず、 理解されることもなく、日常の中に埋もれている。 動きは、その人の状態をそのまま反映する。 歩き方には癖がある。 姿勢には習慣が出る。 身体の使い方には、その人の時間の積み重ねが現れる。 例えば、足元のバランスが変わるだけでも、 身体全体の状態には変化が起きる。 実際に、インソールの使用によっ
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